例年、この時期、ふたご座流星群が夜空を美しく彩ります。今年は明日(13日)の深夜からがピークを迎えるとのこと。寒さも増してきますが、防寒対策をしてふたご座付近を眺め、星降る夜を楽しむのも風情があります。
先日、大好きな酒場街「新梅田食堂街」をぶらぶらしていました。今日はどこの店に入ろうかなと歩いていると、暖簾の向こうで店員さんと目が合い、威勢のいい「いらっしゃーい!」の声につられて、吸い込まれるようにカウンター席へ。店の名前は焼鳥店「とり平」。老舗ならではの風情が漂う、どこか懐かしい空間です。
新梅田食堂街は「大阪で一番カンパイが似合う街」をキャッチフレーズに、約100店舗の飲食店がひしめき合う活気あふれるエリア。最近は外国人観光客も多く訪れ、にぎやかな雰囲気ですが、やはり昭和の酒場文化を愛するおっさんたちがよく似合います。それでも時代とともに多様性が広がり、立ち飲みの王道店からワインと洋食を楽しむ店、オールマイティな居酒屋、さらには喫煙OKの立ち飲み店まで、さまざまなスタイルの店が軒を連ねています。
その中で、今回は「とり平」に導かれ、焼き鳥と焼酎を楽しみました。カウンター越しに店員さんが焼き鳥を焼く姿が見えます。まるでパフォーマンスのように塩を振る手つきがかっこよく、炭台には長年の歴史を感じさせる年季が伝わります。本数を指定すれば、絶妙なタイミングで焼いてくれます。肝心の味は言うまでもなく絶品。香ばしい焼き加減と旨味がたまりません。芋焼酎のロックとの相性も抜群で、心から満足できるひとときでした。カウンター飲みって、やっぱりいいなと思います。
カウンター席では、さまざまなお客様が美味しい焼鳥とお酒を楽しみながら、それぞれの時間を過ごしています。日常の喜怒哀楽が酒の肴に変わったり、あるいは無言の思索に沈んだり。その瞬間瞬間が、日常から離れ、心を切り替える場所になっているような気がします。我々も、日常で起こる辛さを笑いに変え、嬉しい話には涙を浮かべ、自然と日常を置いていく場所となっています。
「大阪で一番カンパイが似合う場所」にそんな日常を置くために人は集まります。誰かと一緒に楽しむ姿もあれば、1人で飲む姿もあります。1人でも自分と乾杯、お店の人と乾杯、隣の人と乾杯なのです。みんな居場所を求めているんだと思う。
星の数ほど人の気持ちもあります。みんな日常に連れていきたくない何かを背負っていると思います。それを、このどこか暖かくて賑やかな場所に置いていく、そんなことができる場所が「大阪で一番カンパイの似合う場所」かもしれない。そんな魅力あふれる場所に人は自然と引き寄せられるものなんだろう。
電車から降りて見上げた空には無数の星、「星降る夜の美しさと、酒場で過ごした温かな時間。その両方が胸に残る、寒い冬の夜でした。
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