考える作業-70

仕事
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「考える」という行為をする時、頭の中だけで思索を続けていると、脳がフリーズすることがある。言葉が浮かんでは消え、消えては浮かぶ。その繰り返しで、やがて思考が止まってしまうのだ。

紙の上で手を動かしながら考えると、言葉が文字として具現化され、次第に思考の枠組みが形成される。まず、関連するキーワードを自由に紙に書き出してみる。言葉を発散するように感じながら。書いた文字が視覚を通じて脳を刺激し、更なる言葉が自然に浮かんでくる。それを掴み取って、紙の上に並べていくのだ。

頭の中は、広大な宇宙のように果てしない感覚だ。遠くにある、うっすらとした記憶の残骸のようなものを、思い出すのか、引き出すのか、言葉が浮かび上がる感覚がある。それは無いようで有るような、有るようで無いような、つかみどころのない場所から出てくる感じだ。

ここで、答えを求めてはいけない。答えを欲しがる脳に、「今はまだその時ではない」と優しく言い聞かせるのだ。焦らずに、内なる宇宙を彷徨い続ける。必ず言葉はやってくる。それは、時には文体となり、紙の上に自然と降りてくることもある。

「もう出てこないのでは?」と感じたら、さらにもう一段ギアを入れ、思考を駆り立てる。脳が限界を迎えるまで問い続け、短時間で集中してやる。そして「もう限界だ」と思ったら、すぐに切り上げる。このスピード感が重要だ。質は後からついてくる。

次に、紙に書かれた言葉や文体を、なんとなく似た意味を持つもの同士でグループ分けしてみる。ここまでできたら、考えるテーマに立ち戻る。自分は何について結論を求めていたのかを振り返るのだ。結論を求める際、テーマは問いであるべきだ。それを経営学では「イシュー」と呼ぶ。そのイシューに対して適切な枠組みを作るため、グループ分けした言葉から3つの柱を立ててみる。

ここまで来ると、紙の上は余白がなくなり、まるで落書きのような状態になる。それを整理する作業が必要だ。不要な言葉は思い切って捨てる。削ぎ落としてシンプルにし、残った言葉をロジックツリーにまとめれば、もう結論は見えてくる。

事業者様との課題解決も、このように仮説を持ってミーティングに臨む。

結論を急がない時は、少し寝かせることも有効だ。寝かせた落書きを改めて見ると、驚くほど新鮮に感じ、より精度の高い思考の枠組みが出来上がる。枠組みの精度が高ければ、おのずと答えや結論の精度も高くなる。寝かせる方法は様々だ。一晩寝てみる、3~4日放置する、散歩に出てみる、湯舟に浸かりながら落書きを思い浮かべる、といった方法がある。ただ、筆記用具がない時に思考が進化してしまうのは少し困るが(笑)。

現代では、考えることをせずインターネットで答えを探す方が効率的かもしれない。しかし、不確実性が高く正解がない時代において、それだけで本当に良いのだろうか?不器用でも、自分が考えたことは、相手に伝える時に「氣」がこもる。エネルギーを発するものだ。他人の考えやインターネットで見つけた正解をそのまま自分の言葉として発しても、「氣」が乗らない。それでは相手を動かすことはできないだろう。

考えるのは何のためか?それは、相手を動かすためなのだ。

9月30日、明日からの3ヶ月を駆け抜けるために、改めて枠組みを作って考えるということをしてみた。自分自身を動かすために。

明日10月1日から、これまでの考えを具体的な行動へと移す時が来た。どれだけ深く考えても、動かなければ何も変わらない。考えることによって得た枠組みをもとに、今度は行動し、現実に働きかけていく。小さな一歩でも、確実に動き出すことで結果が生まれるのだ。行動は、新たな気づきをもたらし、さらなる考察へと導く。そしてまた考え、動く。その循環が、前進する力となり、目標に向かって道を切り開いていく。

この3ヶ月が勝負だ。

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